矯正治療に関してのよくあるご質問

開始時期は症状によって異なります。特に成長期にある子供の矯正治療では、成長によって状況が悪化したり、治療が手遅れになってしまうこともあります。相談するのが早すぎて無駄になったとは考えないようにしてください。ご自分で判断せずに、気づいた時点でなるべく早くご相談されることをおすすめします。
前歯が生え変わる時期にすき間が不足しているようでしたら、早めにご相談ください。同級生が矯正治療を始めたからといって相談に来られる方もいます。治療開始時期は、歯の生え変わり、骨格、悪習癖(拇指吸引、爪咬み、口唇咬み、舌突出癖)の状態によっても変わります。治療開始まで3ヵ月から6か月間隔で定期検診を行い、適切な時期に治療を開始するようにしています。
治療期間については、どのような歯並びを治すのかで異なります。2~3ヵ月で治るものから、歯をきれいに並べるまでに1~3年程度(動的治療期間)かかり、そのあと、きれいに並べた位置でおさえて、安定させるのに1~2年程度(保定治療期間)かかる場合もあります。

矯正治療は子供が行う治療と思われている方も多くおられます。30代から50代の方で、歯並びを気にして矯正相談に来られて治療される方も多くおられます。どこまで理想的な状態に近づけられるかは、歯並びの状況、虫歯が多いのか、骨格の状態、歯を支えている骨(歯槽骨)の状態によっても変わってきます。
歯並びが気になる場合には、一度ご相談をしてください。
当院でも70代の女性で、下の前歯が1本舌側(内側に)傾斜していて、会話時に舌が当たり口内炎が出来て困っているとの相談を受けたことがあります。矯正治療を行う方法と、その1本を抜歯する治療について説明を行ったところ、抜歯はしたくないということで、矯正治療を行って改善したケースもあります。

歯を動かしている間(動的治療期間)は4~8週間隔の通院になります。
歯を動かし終わって、きれいな位置で安定させる間(保定治療期間)は3~6ヵ月間隔の通院になります。

矯正治療をする際に、永久歯の抜歯が必要になるケースもあります。
私たち矯正専門医もなるべく永久歯は非抜歯で治療を行うことを考えていますが、著しい永久歯萌出スペースが不足した叢生(ガタガタ)、上顎前歯前突(出っ歯)、前歯部反対咬合(受け口)などによっては、非抜歯で治療を行うことが困難な場合があります。中には抜歯を避けるために歯の幅を狭くする(歯冠の研磨)を行って抜歯を避ける場合もありますが、研磨にも限界があります。
早期(8~10歳ころ)に上下顎を側方拡大して、永久歯萌出スペースの確保を行い、永久歯列完成期(12歳以降)で非抜歯で矯正治療を行うこともあります。
治療計画を聞いていただいたうえで、心配な場合には他の矯正歯科で相談をする(セカンドオピニオン)をしていただくことも可能です。

矯正治療は、歯に力を加えて動かす治療です。食事中に歯の間にものが詰まっただけでも違和感があり、早く取りたいと思われたことがあると思います。歯面に固定式装置を付けてワイヤーで歯を動かす場合には、調節をした直後よりも翌朝に強い痛みを感じます(すべての歯の間に同時に物が詰まったことを想像してみてください)。4~7日程度で痛みが徐々に減っていくケースが多いです。中には痛みを強く感じるために、食事がとれず市販の痛み止めを服用していただくこともあります。
取り外し可能な装置で顎を拡大している際に、奥歯の内側の歯肉に装置が当たって痛いことがあります。痛いからといって装置を外していると数日でも広げた顎が狭くなってしまうことがあります。痛くて装置の使用ができない場合には、矯正歯科に連絡をして早めに対応してもらうといいでしょう。
試験、演奏会、旅行の直前は矯正装置の調整を避けたほうがいいと思います。次回の治療の予約の際には、あらかじめ予定の確認をしたうえで予約を取っていただくことがいいと思います。

硬いものを食べたり、咬み引きちぎろうとすると装置が外れてしまうことがあります。氷、あめ、硬いナッツ、アイスキャンデー、冷蔵庫で冷やしたチョコレート、スルメなどを食べていて装置が外れてしまうことがあります。なるべく避けるようにしてください。ポップコーンを食べていて破裂していない硬いコーンを咬んで装置が外れてしまったこともあります。粘着性の高いガムは、装置の周囲に絡みついて取りづらくなってしまうことがあります。

矯正治療中に、虫歯を生じることがあります。日常生活の中での食後のブラッシングが重要になります。
特に歯面に外せない固定式装置(ブラケット等)を装着して治療を行っている際には、装置の周囲、ワイヤーの下に食べたものが残りやすくなり、しっかりブラッシングをしていただかないと虫歯になりやすくなってしまいます。
虫歯の位置によっては、ワイヤーや装置を外さないと虫歯の治療ができない可能性もあります。装置を外して虫歯の治療をすると歯が動いてしまうので、治療期間が延びてしまう可能性があります。
朝、通学、通勤前のブラッシングが不十分だと夜しっかりブラッシングをしても虫歯、歯肉の炎症を防げない場合もあります。朝も、夜も(可能であれば昼食後も)しっかりブラッシングをしていただくことが必要になります。
当院ではフッ素の洗口液を使用していただき、歯面を強化しながら治療を進めております。

装置が口唇、頬粘膜に当たって口内炎が出来てしまうことがあります。装置と口内炎が当たり、口内炎が大きくなったり治りづらいことがあります。そのような場合当院ではなるべく早く来院していただき、口内炎にレーザーを照射することにより痛みが取れ治りも早くなることがあります。また、装置表面をワックスで覆うことで、口内炎への当りを和らげることが可能になります。我慢しなくて大丈夫なので、ご連絡をお願いします。

矯正治療中に、転勤、転居、留学などにより、通院が困難になった場合には、転居先で矯正治療を継続するために矯正専門医を紹介しますが、ごくまれに一般歯科の矯正に通院していただくケースもあります。転院のための資料制作等に時間がかかるで、決まったらなるべく早く連絡をお願いいたします。治療費については進行状況により精算させていただきますが、転院先の矯正歯科の治療費の設定により追加費用がかかる場合もありますのでご了承ください。固定式装置での治療中の転居で、あと数回の治療で装置の撤去になる場合には装置の撤去、および撤去後の後戻りチェックのため数回通院していただくこともあります。
短期留学の場合はそのまま留学していただき帰国してから治療を継続します。
長期海外留学の場合は、矯正専門医の紹介が困難な場合もあり、一時装置を撤去して、帰国後再治療を行う場合もあります。

矯正治療に使用する装置は、取り外し可能なもの、装着したままのものがあります。取り外し可能な装置であれば部活動中に短時間外していても問題はありません。
固定式装置(ブラケット等)を使用している場合には、スポーツ中、転倒時にお口の中をけがしてしまうことがあります。けがをしてしまった場合には近所の一般歯科、通院中の矯正歯科に連絡をして処置を受けてください。
吹奏楽を希望される方は装置装着により演奏に影響が生じる場合があります。当院に通院されている患者様でも、学校によっては吹奏楽の顧問の先生から演奏に影響するので金管楽器、木管楽器等は避けたほうがいいと指導される場合と、心配しないで矯正治療を開始していいですよと言っていただくケースとあります。吹奏楽を考えておられる場合は、顧問の先生と相談していただくことをお勧めしています。
ラグビー・ハンドボール・バスケットボール・空手・ボクシングなどの接触が多い競技の場合には注意が必要です。打撲による歯の破折・歯槽骨の骨折を生じる場合もあります。マウスピースの使用をお勧めする場合もあります。